仁木町移住日誌 二日目

朝8時ごろ起床。窓から空気と景色が心地よい。今日は近くの学校で運動会らしく、開催を知らせる花火音が響きわたる。ダキの散歩で余市川のほうにいってみる。出かける近隣のお兄さんから「おはようございます」と声かけられる。「うわぁー、かわいいですね」とダキをあやしてもらう。昨日妻がはなしていた、街路樹(といっても一軒家のお庭になっているものだが)さくらんぼが実っているのを確認する、いい赤づきでちょうとシーズンのようだ。

セナは新居でもトイレを探している様子。簡易トイレを前のお家と階段が似たような間取りなのでトイレが置かれていた場所においたり、ここがトイレだとと何度言っても、どこか探している様子。とても心配。明日、引っ越しの荷物が届く予定。今日はセナ&ダキが乗せられるレンタカーを一度返して(そのまま借りると値段が高いので)軽ボックスに乗り換え、急ぎ必要な車を確保するミッション。また、近隣の方々へのご挨拶の品を東京で準備してこなかったので、札幌の宮下さんのまほろばで買い物することにした。

まずは仁木町役場に向かって転入届を出そうと思ったが、土曜日はお休みでやっていなく、そのまま余市のホーマックに訪問。セナ&ダキのトイレ関係を探す、セナのトイレは4日に届く荷物にあるので、それまでのしのぎで背の高い段ボールを探すが持ち帰れる段ボールは品切れでない。しかし、トイレ用の口が閉まって匂い対策された便利そうなゴミ箱があったので購入し、その段ボールがセナのトイレに使えそうと妻と話す。一度家に帰りセナのトイレ対策をしようとする。帰りに家の近くの仁木ファームによって、私はいちごとバニラのミックスソフトクリーム、妻はブルーベリーソースのパフェを購入。キッチンでせっせと3人ぐらいのスタッフがいちごタルトをつくっていた。木造建築の2階はカフェのようだが自粛でクローズしていたので、車内で食べる。2人ともスイーツが大好きなので、近隣にこのようなお店があるのは嬉しい。ここから妻もアメリカ駐在以来、運転が久しぶりなので、妻に運転を変わる。駐在していた3年ぐらい運転していたからか、私より全然上手だ。お家に帰り、セナのトイレをセットしてみる。ここも妻と私のイメージが違ったことから、昨日からの口論が少しつづく。

11時、レンタカー返却の14時まで時間がないので(ここから新千歳までは2時間かかる)引き続き妻に運転してもらう。札幌市内の車を探す前に、保険として近隣の中古車やディーラーを確認しておきたかった。中古車サイトで事前に探していてスズキ車が良さそうと妻とは話していた。余市国道5号線沿いのスズキのディーラーを見つけてそこに突然訪問する。予約がないとダメそうだったら、受付の可愛い女の子が、どんな要件か、急ぎ手に入る車を検討していることを伝えると、ご予算は?と聞かれ、抑えられたら嬉しいけど100万〜200万円ぐらいと伝えると担当者を連れてきてくれた。奥から女性(日本女子ソフトボールの宇津木監督のようなスポーツやっていたそうな雰囲気)がヒアリングしてくれ(奥の事務所からスーツ姿のスタッフが、何事かと全員こちらを観察している)、車種は決まっていますか?と聞かれ、軽のハスラーやスペーシア、XBEEあたりを検討していると伝えると、すべて試乗車があるので、乗ってみます?外にあるハスラーを案内される。

デザイナーの妻と、少しデザインをかじっている私は外見重視派。都内でみかけたハスラーが良さそうねと話していたのと、アパートの駐車場にも近隣の方でハスラーが2台停まっていたことから、気持ちはハスラーに偏っていた。ぐるりとディラーの周りの道を妻に走ってもらう。レンタルしているレヴォーグとは雲泥の差、室内の雰囲気、乗り心地はオモチャ感が否めない。なるほど、同僚から言われた「軽は所詮軽ですよ」を思い出した。試乗途中で妻から運転を変わる。なるほど、なるほど、こんな感じか。ディラーに戻ってハスラーから降りると、お店で一番偉そうなYシャツ姿のおじさんが参謀を1人引き連れて待ち構えていた(何この順次ボスが出てくる感じ、地方のディーラーあるあるなのか?w)、車すぐ欲しいのか?ニュースで見ていると思うが、コロナで部品が届かなく、新車は3ヶ月ぐらい待たないとダメだよ。すぐ欲しいなら、このスペーシアとスペーシアカスタムはうちの試乗車だけど、売ることはできる、どうする?と聞かれる。(どちらも業務感万歳の白ベース)ハスラーよりはスペーシアのほうが乗り心地は良いよと。(売る気満々)隣にあった次の候補だったXBEEも試乗車したかったけど、こいつは高いよと。でも200万ぐらいでしょ?と確認しながら、時間が気になり、今日は時間ないから、明日またくると伝え、見積もりつくって待っているとお別れする。

とりあえず札幌で車探して、保険として地元の感触がつかめてよかった。やはり軽は2台目じゃないと厳しいかもねと会話しながら妻の運転で、レンタカーを交換する新千歳へと向かう。昨日来た道を逆戻り、アメリカのときに運転していた癖で、左ウィンカーを出そうとワイパーをなんどか動かしてしまう妻。脳内が昔の癖を覚えているんだね、運転っていい脳トレ、いつも使っていない場所が活性化された感じがある。

新千歳の日本レンタカーに無事到着。ガソリンスタンドが近くになかったためレンタカーにある給油所で給油してもらう。ガス代2500円ぐらい支払う。次の車の手続き。怖いので前回もそうしたように保険はすべて適用してもらって自分たちの車が手配できるであろう次の日曜日まで(まだ確証はないが)契約する。軽でサイトからはホンダNボックスかなと思っていたら、割り当てられたのは、なんと購入候補車になっていた水色のスペーシア!さっき試乗できなかったからラッキーだね!と妻と話す。

さきほどハスラーを試乗したので、軽自動車の感触はなんとなく把握している。運転は私にかわり、とりあえず札幌市内まほろばに向かう。新川ICで高速を降りて、初めて市内を走る。やはり余市仁木の田舎道とは違い車も多く3車線、運転に緊張がはしる。一度、まほろばをスルーしてしまい(確か以前もしたことがあるが車が多い反対車線側にお店があるので右折しづらい)ぐるりとまわってまほろばに到着、唯一空いていた駐車スペースに道路と隣接していることもあって、バックで停めるのに苦労する。

まほろば本店は創業37年の売り出し中で、活気ある店内はさすが。スタッフが生き生きしていて、みんなが笑顔で楽しそう。改めていいお店だ。忙しいところ失礼ながら、事務所からカゴを店内に戻そうとされていた島田さんに妻が声を掛ける。「東京から移住してきました、中山です」島田さんは把握されたようで、ついにですねと笑顔で対応してくれた、社長が事務所にいますから是非とご案内される。売り出しでお忙しいだろうから挨拶程度で終えようと思っていたから恐縮してしまう。事務所奥、かつては宮下さんが座っていた奥のお座敷に大橋社長がようこそと招き入れてくださる。

突然、お忙しいところすみません。いえいえ、いまお客様がひいたところなので丁度よかったですと言って頂けた。お座敷でしばらくお話する。私たちの移住について、ついにというか僕はやっとと思っていますと。大橋社長は仁木町を拠点として、これからの構想があり、そこに私たちが加わったことで加速すると喜んでいただけている様子。(とても有り難く、そしてとても心強い)大橋さんから妻の仕事について聞かれ、グルテンフリーのお菓子屋づくりや、最近主催しているリモートのワークショップ、ジェモのお話をする。北海道医療大学の堀田清先生と自然派手作り石鹸を作っているお話と書籍を紹介いただく。(堀田清先生は写真家でもあり、素敵な書籍と店内で販売されていたダイコンの葉を煮出した汁をつかった石鹸をさっそく購入させてもらう)

店内から女性のスタッフがソフトクリームを妻と私の分ふたつ持ってきてくれた。大橋さんからどうぞとありがたく頂戴する。さっき食べたいちごとバニラのミックスとは、まったく次元が違うことに驚く。いちごの香り、ソフトクリームの食感とところどころのつぶつぶ感。大橋さんからこのソフトクリームのこだわりについてお話してくださる。市販の生クリームが添加物だらけであること、機械から自分たちで手配してまさに手作りであること、まほろば農園のいちごが格別だったことなど、まさに自分たちが食べたいソフトクリームをお客様に利益度外視で格安で提供している姿勢に感動する。(サービス精神旺盛で何度も試作品で研究熱心な妻ととてもシンクロ)

大橋さんから一二三糖でふんわりしたスポンジケーキ焼けますかと質問され、大橋さんから、そのスポンジケーキを研究されているというスタッフの齋藤さんをご紹介頂き、ここでも実験は妻の得意領域だと話が盛り上がる。これでいけるというレシピを工場で生産してしもらうと、どうもしっくりこないらしい。妻がインスタグラムの写真をもとにシュトレンのお話などをし始めたので、大橋さんのスポンジケーキの話題に戻そうと、妻が玄米を自分で粉砕していて、鮮度が大事なお話だったり、グルテンフリーのお菓子って我慢しているイメージが強かったが、妻のお菓子を食べるようになってから、逆になぜ小麦粉じゃないとダメなんだろうと思うようになったお話をすると、大橋さんもグルテンフリーと最初言わない方が良さそうですね。結果、グルテンフリーだとあとからわかる人がわかればいいと、まさに我々がお話していたことをおしゃってくださり、改めて、妻との相性のよさ、いままで何度もやりとしてきたかのような、ビジビシと通じる以心伝心、これからいくつものプロジェクトをご一緒していけるのが、本当に楽しみで仕方がない。また、相当期待されていることを再認識し、その期待にこたえなければと決意を新たにした。

しばらくお話させてもらい、車の捜索が気になったので、そろそろ買い物して帰りますと伝えて、店内をまわる、丁度、売り場で出張出店されていた高知県の入野さとふ(黒糖のような自然のおさとう)の計り売りをしている元気な女性から試食させてもらう。全く違和感のない自然な甘さ。近隣の方へのご挨拶もこれがいいんじゃないかとパッケージを5個、我が家用に計り売り200g、また丁度切れていたまほろぼのお味噌も購入させてもらう。

車内に乗って、さて車を探そうと、ネットで下調べして良さそうな車両があった店舗をナビで入れてみる。なんと偶然にも車で10分ほどで着く距離であることが判明。狙ったわけではないが、このような偶然がこちらにきてからかなりの頻度で連発する。早速、訪問(これも通り過ぎてしまい大回りしてなんとか到着)するとメガネかけた短髪のお兄さんが外にいて、予約していないんですが、車を探していてちょっといいですか?と尋ねると、ぜひ、黄色いラインのところがお客様の駐車場なので、そこに車停めてくださいと案内される。後ろでオーライ指示してもらったが、バック駐車が下手すぎて斜めになってしまったにも関わらず、たぶん、今日はもうお客様いらっしゃらないからこのままで大丈夫ですよと、優しく受けごたえしてもらう。

さっそく店舗にある中古車を見て、ネットに見覚えのある車が複数ある。今日の午前中と同じように、検討している車種、そのなかでもXBEEを探しているとお話すると、丁度、うちで試乗車として使っていた車で、走行距離2000kmでほぼ新車状態の車両がありますよと案内され、ネットでいいなと目をつけていた通り、カーキ色の理想のXBEEが奥に停まってました。いくつか試乗車みてみます?と案内されて、試乗にあたっての手続きを終えたのち、最初はソリオをお勧めされるが、隣のXBEEの試乗車をトライする。外見はコンパクトな割には室内は広く、ハスラーやスペーシアのような軽のオモチャ感はなく、妻に運転してもらいディラーの周りを周回する。早速、妻も、うん、しっくりくると言ってくれて、その様子を見て、自分が運転するまでもなく、この流れに乗ろうと、この車に決断する。

その後、実際の新古車を確認、横滑り防止、ナビ、ETC、バックカメラ、フロントドライブレコーダー、ヒートシーターなど必要な装備はすべてあり、さきほどの試乗車よりはグレードが一つ落ちるが、ハンドル(ちょっと重要なのでいずれはハンドルだけでも買い換えたい)やシート、フォグランプやLEDランプ(こちらもあとから交換可能)程度で、エンジンなど走りについてのスペック違いはないこと、料金的には車体価格が199万円で、ちょっと予算多めだが、もうこの車に決めようと妻とも合意して、手続きを進める。店内に入り、案内してくれたスタッフの名刺をもらう、加藤さんというお名前でなんと店長さんでした。フォグランプって必要です?んー、正直、ファッションです!と包み隠さず質問に答えてくれた。(とても好印象)冬のタイヤとワイパー、ウィンドウバイザー、北海道は除雪で道路に塩が撒かれる兼ね合いで車下が錆びやすいので下回り防錆塗装を235万円也。新古車は金利も新車扱いで年1.90%が適用されるとのことで、頭金50万円、7年ローンにしてもらう。

ただ、できるだけ早く手に入れるためには、仁木町の転入届けを出して、印鑑証明と車庫証明が必要とのことで急ぎ、月曜日に手続きしてお昼ごろに持ってきますとお伝えする。早ければ週末、仁木町の場合は手続きがかかって翌週末になるかもと言われる。(できれば来週末に手に入れたいところ)

仁木町移住日誌 初日

朝8時ごろ目覚める。相変わらずセナはトイレを探している様子。焦る妻に申し訳ない私。12時50分羽田発北海道行きの飛行機に、初めてセナとダキを連れて行く。前日に同意書をコンビニで2部印刷して記入した用紙を準備した。スーツケースに北海道で引っ越し荷物が届く4日までに必要なものを詰める。取り急ぎの工具、特に無印のスタックシェルフの六角レンチやメジャー、持っていってもらえなかったテレビなどの電源、アンテナケーブル類、インターネット機器類を詰める。

荷物が多い上に、セナとダキを運搬ケージに入れて運ぶ必要がある。事前に妻から羽田までのタクシーの手配を依頼されるが、妻が捨てずに置いてくれていたサブスクタクシーは渋谷区限定、ネットで調べると一般タクシーはペットNGとのことが直前でわかり、慌ててネットでペット輸送を探すが手配できるドライバー見つからず、段取りの悪さを反省する。諦め切れない妻は直前まで電話していた。(申し訳ない)さすがにトイレに苦しむセナを飛行機に乗せるのは心苦しくて、どうにかトイレ済ませられないか試行錯誤する。いままではアイリスオオヤマの全身隠れるトイレを使っていた兼ね合いで、セナが好きな音声水の段ボールが丁度全身入れることから、空き箱に簡易トイレシートと簡易トイレペレットを入れて、セナにここがトイレだよと伝える。いつものようにトイレ掃除しているかような仕草をしてみせたらセナがわかってくれたようで、中にはいっておしっこをしてくれた。やった!と妻に報告して、出発準備を進める。

そして外は豪雨。セナはリュックに(異変に気づき、慣れ親しんだお家から離れるのが嫌だったのか、相当嫌がっていたが、妻と協力して中に入れてチャックを締めた)、いつものショルダーバックにダキを入れて、大小のケージは一つにまとめて2人スーツケースを引きずりながら代々木上原の駅に向かう。流石に雨は想定外だった、傘で一手奪われるのは辛い。代々木上原から原宿(千代田線の改札でスーツケースのタイヤが一つ壊れてバランス崩す、とことんついていない)、品川、羽田空港へと到着。散歩できなかったダキの脱糞を恐れてちょっと散歩。受付カウンターの勝手がわからず、結局、出発30分前ギリギリの受付となってしまった。

初めてのことで妻はかなり心配している。お水と保冷剤をつけるか聞かれ、お願いする。お水は事前に準備しようかとも思ったが間に合わず、でも、空港スタッフが新しい薄型でケージ入り口に固定できる理想的な水筒をつけてくれた。(あとでこれはもらえたのでラッキー)ペットお預けどころか我々の20分前搭乗手続きの締め切り時間が迫り、焦るスタッフに誘導され、ギリギリ搭乗口へ、そして機内の非常口席(足が伸ばせるので、体が大きい私は空いていたらできるだけこの席にしている)で、妻と私は少しほっとする。

羽田も雨がすごかったが、飛行機が飛び立ち、厚い雨雲を突き抜けると、その上は全く別世界のようにもくもくと静かな雲の上を多少気圧で揺れながらも確実に北海道へと近づいていく。雨雲は東北から北海道まではまだ届いていないようだ。定刻通り13時20分、新千歳空港に降り立つ。私と妻が交互にトイレをすまし、預けたスーツケースと、セナ&ダキを受け取る。セナは鼻の頭に汗をかいて、そうとう怯えていると妻が指摘、ダキは大丈夫そう。どうすることもできず、予約した日本レンタカーの受付に向かい、レンタカーまでの大型送迎バスに乗る。

ペットを乗せられる車はスバルのレヴォーグしかなく、仕方なくこれにした。運転も6年ほどしていないことから相当心配ではあったが、(6年前は北海道での運転なのと、向かう仁木町は田舎なのでなんとかなると開き直っていた)受付している間、妻にダキの散歩をしてもらう。無事トイレできた模様。用意されたレヴォーグはほぼ新車のニュータイプ。全面ナビもまるでテスラのような大型タブレット縦型のモニタで、妻も興奮すしている。トランクに2人のスーツケース、セナ&ダキをゲージに入れたまま後部座席に乗せた。再びセナの鼻の頭の汗にフォーカスがあたる。セナに相当ストレスがかかっていることがわかる。(ごめんね、もう少し辛抱してください…)

広めのレンタカースペースで、手慣らしの運転練習を追えて、行き先を余市の不動産事務所にセットして、すぐに高速に乗って仁木町へと向かう。久しぶりの運転で妻も不安がっているが、レヴォーグの親切設計に助けられ(サイドミラーに車が近づいたり、車線を少しでも踏み外すとアラートで気づかせてくれる、センサー搭載車両の恩恵を初体験、これは、すごい!)高速でも時速100kmを越えたあたりから体感が変わることを知覚しながら「いまはすごくビクビクしているけど、人間って慣れると調子のっちゃうんだろうね、今の自分にはスピード違反で捕まる人の気持ちがわからない…」などと数日後にはスピード出している自分を嘲笑うかのような話を妻にした。

高速に乗るも、車窓から見える広大な自然、そして広い空を眺めながら、妻と北海道の無限大な可能性を改めて認識する。妻がラジオをつけたり、ハッカ飴をくれたり、運転の緊張を少しリラックスしてくれた。最初、運転とナビの勝手がわからず少し遠回りしたが、高速に乗ってからは順調に余市に着く。新しく開通した小樽に向かわず余市にショートカットしてくれる。(ありがたい)車に乗って2時間ほどして高速を降りて、見覚えのある余市駅近辺の景色が見えてホッとする。セナ&ダキは疲れたのかとっても静。

ナビの誘導で、リモートで手続きした余市の不動産ホームセンター企画の事務所に到着。やりとりしていた藤田さんと初対面。事前に契約書類に記入と印鑑を押して送付済みのため、手続きはスムーズに終わる。最近、「移住者はおおいいですか?」と質問すると「丁度、中山ぐらいの年代で東京で活躍されている方の契約が増えている」とのこと。やはりそうなんだねと妻と顔を合わせる。余市から仁木町までの5号線は、え、この程度で捕まるの?というぐらい取り締まりが厳しいらしいからスピード気をつけてとアドバイスもらう。すでに高速2時間時速100kmで調子乗った私にとってはとても貴重なアドバスだった。

ナビに自宅の住所をセットして、いざ新居のアパートに向かう。散々Googleマップのストリートビュー(築5年のアパートはまだ建っていない状態写真ではあったが)物件を吟味しているときに散々見ていたので、迷うことなく到着する。駐車場が一番端っこで助かった。鍵を開けて新居の中へ、室内写真は見ていたが、実物をはじめてみる。とても綺麗で、間取りもとてもよいと妻と興奮する。図面上、前のうちよりもせまくなるリビングも気にならず、むしろ使い安そうな空間で、これは当たりだ!

日当たりもよく、窓を開けるとすぐに涼しい風が中に入ってきて気持ち良い。窓からの見晴らしも自然の緑があり、心地よい鳥の囀りが聞こえてきて、最高だ!ダキのうんちがまだだったので、妻が散歩しくれる。早速したみたいだが、「すごい路地の木にさくらんぼがなっている!食べれそう!」と妻が興奮して帰ってくる。田舎時間で田舎の醍醐味を経験したことのある私は、これからもっと驚きがあるよ、と内心思いながら、リビングに座り、ライフラインの手続きを確認しながら、ちょっと休憩…といきたいところだが、定例の打ち合わせの時間に気づき、キッチンカウンターにPCを乗せて、Zoom会議をする。参加メンバーに早速窓の外の景色を見せ、羨ましがられる。「なぜ、みんな移住しないんだい?」と。(さっそく調子のっている)

打ち合わせ中、宮下さんからのご紹介で、つい2週間ほど前に東京でお会いした茶人の原さんからFacebookメッセンジャーで電話もらう、妻に出てもらい、打ち合わせ後、原さんがいまニセコにいるので、よければ会いたいと連絡もらう。宮下さんに電話で到着の挨拶と、今晩の寝る準備などバタバタしていることを伝え、宮下さんとの会合は後日にしてもらう。原さんに事情を伝え、余市のイオンで寝具コーナーで今晩の寝床(といってもいずれ受け入れるであろうお客様用の寝具にも使える前提で)の準備をしているところに来てもらう。

原さん到着、東京でお会いしたときとよりラフな格好でだいぶ印象が違う。「よーこそ、北海道仁木へ!」と歓迎してもらう。原さんがニセコで打ち合わせしてきた、近日オープン予定の八海山の施設の写真を見せてもらいながら、八海山の素敵なボトルの日本酒を2本ありがたく頂く。壊れたスーツケースの代わりになりそうな手頃なものがあったので購入。ご飯は、まん延防止等重点処置でどこも21時までの営業、以前宮下さんと2度ほど訪問している余市の回転寿司「余市番屋」にギリギリラストオーダー前に到着。

先にトイレから戻ってくると、妻から「私これとこれを食べたい」と言われる。私は疲れからか、引っ越しのいらいらからか「自分で頼めばいいじゃん」と突き放してしまった。そこから口論のはじまり。ただ、ラストーダーが迫っていることから、地魚や自貝を次々注文して、私は食べ、妻は口論していると美味しく食べられないからとスローペース。しばらく言い合いながらも、閉店時間をすぎて、店内清掃をはじめるスタッフに申し訳なくお会計を先に済ませて、妻が食べ終わるのを待つ。

帰り、北海道限定のコンビニ、セイコーマートに寄る。機内誌でみた北海道地域ごとのお酒をそれぞれ好みのものとを1本づつ購入(妻は余市町産完熟トマト酎ハイ、私は美瑛町産ハスカップサワー)と明日の朝ごはんとしてヨーグルトドリンクやバナナ、お水を購入して帰宅。玄関の電気が点いていることを気にされてお隣1階の方が心配そうに玄関から顔を出す。「こんばんわ、今日引っ越してきました。ちょっとおってご挨拶させてください」「あら、どうも、玄関に電気点いてたもんだから、誰だろうと思って」「あ、これスイッチで消せるんですね、ごめんなさい勝手がわかっていなくて、すぐに消します。また後日ご挨拶させてください」「どうも」というやりとりがあった。

リビングで妻とふたり体育座りとあぐらかいて座りお酒を飲みながら、口論の続きを近隣迷惑も考慮して小声で続けて、2人少し落ち着いたところで、購入した寝具を準備して午前1時過ぎに就寝に着く。

仁木町移住日誌 前日

朝9時から北海道拠点の引っ越しプロロさんがくる。

ここしばらく、特に最後の2日間は不眠不休で、捨てても捨てても、いくら段ボールに詰めても減ることのない2人の荷物。親切に対応してくれている引っ越し現場スタッフ、長髪バンダナできつね顔のイケメンリーダーにも飽きられる。もともと段ボール120箱程度とお話したが実際は倍の段ボールでも荷物が入り切らない事態なので当然の結果。今回すべての荷物は諦めて、積めるだけ積めてもらってなんとか引っ越しのカタチにはなった。(ほんとよかった)

北海道便に荷物を受け渡さなければいけないプロロさんは13時ごろ引き上げて、まるで過ぎ去った嵐のように、散らばる小物を、しばらく方針状態で見つめる2人。引っ越し中、ケージのなかで拘束されていたセナとダキも激変したリビングや寝室をまるで別の空間にワープしたかのように、あちらこちらを嗅ぎまわる。セナのトイレの砂をすべて送ってしまった失敗、小旅行のときに準備していた簡易トイレをセットするも、トイレと認識してもらえず、トイレどこ?状態であちらこちらを探しては、訴えてくる鳴き声に、妻も私も困惑する。

しばらく放置していたSlackを確認して、突然の打ち合わせ依頼にウトウトしながらスマホのZoomで参加。汗だくの身体を大黒湯で流し、最後の晩餐として事前に決めていた割烹高橋に行く。高橋さんに北海道移住を伝え、久しぶりの外食での日本酒と高橋さんの気持ちのこもったお料理で癒される。妻は荷造りが終わらないプレッシャーから解放されたようで、少し落ち着いた様子。お土産の炊き込みご飯を明日のおにぎりにしてもらって帰宅。

家に帰り、前のお家から持ってきてベランダ倉庫で埃まみれになっていた簡易マットをコインランドリーで洗濯しつつ、引き続き、散らばった小物を段ボール詰め、掃除機をかけて、今晩の寝る場を確保する。私は荷物が溢れかえる部屋からマンション2階にある広めの公共スペースに避難していた空き段ボールや荷物を片付けて、2人とも最低限の整理で、1人用の簡易マットに2人くっついて就寝についた。

地球守


あらゆる生命は孔から生まれる

古民家裏の谷筋と際に点孔を掘り
隣の竹林の枯れ材を野焼きで多孔質な竹炭にして山に返し
地形を読みながらミクロからマクロまで
一つとして同じ形状のない無限の孔をつくることによって
菌糸と根っこのネットワークが生まれ
大地の水と空気の呼吸を促進する

日本の国土の22%にもなる豊かな黒土は
長い縄文時代の野焼きによって生まれたもの
宇宙から眺めると
あたかも腸内フローラに棲む微生物のように
昔の人々は地形の際に住み自然の一部として活動していた

便利はある視点では豊かではあるけど
呼吸が出来なくなってきた自然では
人間の叡智を次世代に継承していくことは難しい
何故なら人間も水と空気で呼吸しているから

登ったら降りる


なにごとも登ったら降りる

ある人は登ったつもりでいても
それと同等に反比例したものが
他のだれかに降り注がれている

そう、世の中の活動すべては波動に過ぎない

先進国が多くの富を手に入れたら
後進国には環境・食料問題、戦争が巻き起こる
それが陰と陽の因果関係であることは明白なのに
資本主義は見て観ぬふりをする

成長、進化って何なんだろうね

しわ寄せを大きくして
生まれた陽だけにフォーカスして喜んでいる
同じく生まれている陰を無視してしまう
都合のいい動物、それが人間

でも、残念ながら人間のセンサーは退化せず
それを「息苦しさ」として知覚しているようだ
でもね、その「息苦しさ」の根源が
成長、進化しようとしている自分自身なんだよね

だから、登ったら降りる

空と無―余白


新しいものを手に入れるためには
その余白がないと受け取ることができない

森の環境改善、自然栽培でも
停滞した水や雨で新たにやってくる水を
畑に点孔でいくつかの高低差をつくり
重力によって動かすことで、土を乾かす

柔術などの身体のスペシャリストも共通して
身体の余白と重力をうまくつかうことで
相手をいとも簡単に倒してしまう

マラソンで老廃物を汗で流すことも
ヨガ、座禅によって呼吸を整えることも
体内の循環を改善して、余白を生み
その余白に、新たなエネルギーが宿る

般若心経に「空」と「無」が
多数出てくることもこのことを意味している
のだと想う

料理とこころ


同じ食材でも料理人によって
その味わいは大きく違う。
それはワイングラスでも同じこと。

食材のエネルギー同様
人のエネルギーである心がどれだけ
その料理に込められているか。

そのエネルギーは
六根(眼、耳、鼻、舌、身、意)を
研ぎ澄まさないとわからない。

対話と気


対話が大事だとよく耳にするが
対話によって人と人同志の気が通ること
こそ真意な気がする。

心が入っていれば
言葉を発せなくても気が通じる。
阿吽の呼吸とはそういうことなのかも知れない。

食と宇宙エネルギー


食は宇宙エネルギーを
摂取する方法だと置き換えてみると
栄養価とかさほど気にならない

もちろん間違っていないのだろうけど
宇宙エネルギー軸で食べものを観察すると
果物に注力してしまう

果物には発酵させると爆発するほどの
エネルギーが充填されている。
果物を食すことで
病を克服する人が多いことも頷ける

陰と陽


ヒトには誰にでも陰と陽があること
この2つは切り離せない因果関係。

最近、世の中、ヒトの陰だけをみて
叩くことが多いのだけれど
その陰によって生まれた陽があることに気づいていない

逆に陽の振り幅が大きいヒトは、
それだけの陰があることにも気をつけて

ヒトは視界が狭いから、
陰だけだったり、陽だけだったり、片方のみを見がち

両方に気づくと、いままで見ていた陰だったり、
陽だったりの自分の受け止め方が変わってくる

結局のところ、問題は自分の見方次第。